犬の歯周病による顎骨折|歯周病が骨折の原因になる?獣医師が解説

犬の歯周病による顎骨折|歯周病が骨折の原因になる?獣医師が解説

左側の鼻に皺を寄せてこちらを見る怪訝な表情の小型犬

「歯周病が原因で顎の骨が折れることがあると聞いた」
「愛犬が急に口を痛がるようになった」
「特にぶつけた覚えがないのに顎が骨折することはあるの?」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

犬の歯周病は歯ぐきの炎症だけでなく、歯を支える骨を少しずつ溶かしてしまう病気です。
歯周病が重度になると下あごの骨が非常にもろくなり、硬いものを噛んだり、軽い衝撃を受けたりしただけで顎の骨が折れてしまうことがあります。

今回は犬の歯周病による顎骨折について

  • 歯周病で顎の骨が折れる理由
  • 症状
  • 検査方法
  • 治療法
  • 予防方法

を詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のお口の健康管理にお役立てください。

目次

犬の歯周病による顎骨折とは

犬の歯周病による顎骨折とは、歯周病が進行して顎の骨が弱くなり、通常では骨折しない程度の力で骨が折れてしまう状態です。
犬の歯周病では、細菌による炎症が歯ぐきだけでなく歯を支える歯槽骨へ広がります。
炎症が長期間続くことで骨が徐々に吸収され、顎全体の強度が低下します。

この段階の歯周病では

  • フードを噛んだ
  • おもちゃを噛んだ
  • ジャンプして着地した
  • 軽くぶつかった

といった日常生活の中でも顎を骨折することがあるため注意が必要です。

歯周病で顎骨折を起こしやすい犬

歯周病で顎骨折を起こしやすいのは

  • 小型犬
  • 高齢犬
  • 重度の歯周病がある犬

などです。
特に

  • トイ・プードル
  • チワワ
  • ヨークシャー・テリア
  • ポメラニアン

などの小型犬は顎の骨が細く、歯周病が進行すると骨折しやすい傾向があります。

加齢とともに歯周病が進行しやすくなるため、高齢犬では顎骨折のリスクが高いです。

重度の歯周病がある犬で歯がぐらついていたり、歯石が大量に付着していたりする場合は、顎の骨も大きく失われている可能性があります。

犬の歯周病による顎骨折の症状

顎骨折では次のような症状がみられます。

  • 急に口を痛がる
  • 下顎が左右にずれる
  • 口が開いたままになる
  • 顔が腫れる

顎の骨折がおこると痛みから食欲が低下して、体重減少などを引き起こす可能性があるため早期に治療が必要です。

この記事を読んで気になった方へ 気になる症状があれば一度ご相談ください ご予約はこちら

犬の歯周病による顎骨折の検査

犬の歯周病による顎骨折が疑われる場合は、まず口腔内を詳しく診察して歯周病の進行度や骨折の有無を確認することが必要です。

その後歯科用レントゲン検査による画像検査を行い、骨折部位や骨の状態の詳しい状態把握が行われます。
歯科用レントゲンでは、歯を支える骨がどの程度失われているかも確認できます。

犬の歯周病による顎骨折の治療

歯ブラシを見せられて嫌がるマルチーズ

犬の歯周病による顎骨折の治療を

  • 歯周病の治療
  • 経過観察
  • 顎骨折の整復

に分けて解説いたします。

歯周病の治療

歯周病では原因となる歯石や歯垢を除去する治療が行われます。
全身麻酔をかけて歯科用の特殊な機械を使い、歯周ポケットの中や歯の裏側まで丁寧に歯垢を除去する必要があります。
温存が難しい歯や骨折の原因となる部位の歯は抜歯が必要です。

保存療法

骨折部のずれが小さく噛み合わせが大きく乱れていない場合や、全身状態の問題から手術が難しい場合には保存療法が選択されることがあります。
保存療法では鎮痛薬や必要に応じた抗菌薬を使用しながら、顎に負担をかけないような管理が必要です。

食事は硬いドライフードを避け、ペースト状やふやかしたフードなど、噛まずに食べやすいものを与えるようにしましょう。
骨折部へ負担がかかるため、硬いおもちゃやデンタルガムを噛ませることも控えましょう。

保存療法を行う場合も定期的に検査を受け、骨折部位の状態を慎重に確認することが必要です。

顎骨折の整復

骨折の程度によってはワイヤーやプレートなどを用いて骨を固定する手術が行われます。
ただし歯周病によって骨が大きく失われている場合は、通常の骨折よりも固定が難しいことも少なくありません。
骨折の場所や残っている骨の状態に応じて最適な方法が選択されます。

犬の歯周病による顎骨折の術後管理

顎骨折の術後は柔らかい食事を与え、一定期間は硬いおもちゃやガムを控えます。
また、感染を防ぐために抗菌薬や鎮痛薬を使用しながら経過を観察する必要があります。
骨が安定するまでは口周りを触らないようにすることも大切です。

犬の歯周病による顎骨折を予防するには

歯周病による顎骨折は、歯周病を予防することでリスクを大きく減らせます。

  • 日頃のデンタルケア
  • 定期的な歯科検診
  • 必要に応じたスケーリング

を行い、歯周病を進行させないことが大切です。
特に小型犬やシニア犬では、見た目以上に歯周病が進行していることもあるため、定期的に口腔内をチェックしてもらいましょう。

まとめ

窓際でくつろぐヨークシャテリア

犬の歯周病は放置すると歯を失うだけでなく、顎の骨まで溶かしてしまうことがあります。
重度になると日常生活のわずかな力でも顎骨折を起こす可能性があり、外科手術が必要になることも少なくありません。
歯周病は早期発見・早期治療が何より重要です。
毎日の歯磨きと定期的な歯科検診を習慣にし、愛犬の歯と顎の健康を守りましょう。

当院は歯科診療に力を入れており、歯科用レントゲンをはじめとする歯科診療の設備も整えています。
犬の歯や口のことでお悩みの際は、ぜひ当院までご相談ください。

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