猫のくしゃみの原因は歯周病?|歯周病とくしゃみの関係について獣医師が解説

「最近、猫がくしゃみをするようになった」
「歯周病と診断されたけれど、くしゃみも関係あるの?」
「鼻炎だと思っていたら歯が原因と言われた」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
歯周病が重症化すると「口腔鼻腔瘻」という状態になり、歯周病が原因でくしゃみが起こることがあります。
口腔鼻腔瘻は口の中と鼻の中がつながってしまう病気で、自然に治ることはほとんどありません。
放置すると細菌感染が繰り返され、慢性的なくしゃみや鼻水が続く原因になります。
今回は猫の歯周病とくしゃみの関係について
- 歯周病でくしゃみが出る理由
- 症状
- 治療法
- 予防法
を詳しく解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫のお口の健康管理にお役立てください。
猫の歯周病でくしゃみが出る理由
猫の歯周病でくしゃみが出るのは、歯周病の悪化によって口と鼻の間の壁に穴が開いてしまうことがあるためです。
歯周病は歯垢や歯石に含まれる細菌によって口の中に炎症が広がる病気です。
歯周病が進行すると歯を支える歯槽骨が溶け、さらに重度になると口の中と鼻の中の境界が破壊されて穴が開くことがあります。
これが口腔鼻腔瘻という病態です。
口腔鼻腔瘻になると口の中と鼻の中を隔てる壁に穴が開いてしまい、口の中の
- 細菌
- 食べ物
- 水
などが鼻へ入り込むようになります。
その刺激によって鼻の粘膜に炎症が起こり、くしゃみなどの症状が現れます。
一度口腔鼻腔瘻になると穴が閉じない限り細菌感染を繰り返すため、くしゃみが慢性化することも少なくありません。
猫の歯周病が進行したときにみられる症状
猫の歯周病が悪化して口腔鼻腔瘻が引き起こされるとさまざまな症状が現れます。
- くしゃみ
- 鼻水
- 強い口臭
- 食欲低下
くしゃみはもっとも多い症状です。
歯周病の治療をしていない猫で何週間もくしゃみが続く場合は、口腔鼻腔瘻が原因となっている可能性があります。
また食べ物や水が口から鼻へ入り込むため、食事中や食後にくしゃみを繰り返すことがあります。
食事のたびに症状が悪化する場合は要注意です。
猫風邪や鼻炎が原因の場合は両側の鼻から鼻水が出ることが多いです。
一方で口腔鼻腔瘻になると片側だけから鼻水が出る場合も少なくありません。
透明な鼻水だけでなく、細菌感染が起こると黄色や緑色の膿のような鼻水が出ることもあります。
重度の歯周病を伴うため強い口臭がみられることがあります。
歯肉の腫れや出血を伴うことも少なくありません。
歯の痛みや鼻づまりによって食欲が低下することも多いです
猫は匂いを感じにくくなると食欲が落ちやすいため、鼻づまりが続くと食事量が減ってしまいます。
猫のくしゃみに加えて「片方の鼻からだけ鼻水が出る」「口臭が強くなり、食欲が落ちた」このような症状がある場合は歯周病が原因かもしれません。
猫の歯周病によるくしゃみの治療

くしゃみの原因となっている歯周病や口腔鼻腔瘻の治療には内科治療と外科治療があります。
それぞれについて解説いたします。
内科治療
内科治療では症状を抑えるために抗菌薬や消炎鎮痛薬が使用されます。
薬の内服だけでは穴は閉じないため、根本的な治療にはなりません。
内科治療は手術までの感染コントロールや術後管理として行われます。
外科治療
外科治療は口腔鼻腔瘻の根治治療です。
外科治療では原因となっている歯を抜歯し、口と鼻を繋いでしまった瘻管を縫合して塞ぐ手術が行われます。
穴が大きい場合や炎症が強い場合には、複数回の処置が必要になることもあります。
猫の歯周病によるくしゃみの予防法
口腔鼻腔瘻を予防するためには歯周病を進行させないことが最も重要です。
毎日の歯磨きが理想ですが、難しい場合でもデンタルジェルやデンタルフードなどを活用し、口腔内を清潔に保つよう心がけましょう。
定期的に動物病院で口腔内チェックを受けることも大切です。
歯石が多く付着している場合は全身麻酔下でのスケーリングが必要になることがあります。
猫が高齢になるほど歯周病の発症率は高くなるため「口臭が強くなった」「食べづらそう」といった変化を見逃さないようにしましょう。
まとめ

猫の歯周病が進行すると歯を支える骨が破壊され、口腔鼻腔瘻が生じることがあります。
口と鼻がつながることで細菌や食べ物が鼻へ入り込み、くしゃみや鼻水などの症状が現れます。
薬だけでは根本的な改善は難しく、多くの場合で抜歯と口腔鼻腔瘻を閉鎖する手術が必要です。
「歯周病がある猫のくしゃみが続いている」「口臭と鼻水の両方が気になる」という場合は、早めに動物病院で歯科検査を受けることをおすすめします。
当院は歯科診療に力を入れており、歯周病に対する外科治療も行っております。
猫のくしゃみや口臭にお悩みの際はぜひ当院にご相談ください。


