猫の歯の噛み合わせが悪い|原因や治療法を獣医師が解説

猫の歯の噛み合わせが悪い|原因や治療法を獣医師が解説

鳴き声を上げるキジ白の猫

「猫の歯の向きがおかしい気がする」
「口を閉じたときに犬歯が歯肉に当たっている」
「ご飯を食べにくそうにしている」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。

猫の歯は上下の歯が適切な位置で噛み合うことで、食べ物を噛んだり口を閉じたりすることができます。
この噛み合わせが正常な位置からずれている状態を不正咬合といいます。
猫の不正咬合は見た目だけの問題ではなく、歯が歯ぐきや上あごに当たることで痛みや傷を引き起こすこともあるため注意が必要です。

今回は猫の歯の噛み合わせについて、原因や治療法を解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、猫の噛み合わせに異変があるときの対処法を学んでいただければ幸いです。

目次

猫の歯の正常な噛み合わせとは

猫の永久歯は通常30本あります。
猫の歯は大きく分けて

  • 犬歯
  • 切歯
  • 臼歯

の3種類の歯があり、それぞれの正常な噛み合わせがあります。

犬歯は獲物を噛んで引き裂く役割がある歯です。
下あごの犬歯が上あごの犬歯より少し前にあり、上下の犬歯が互いに接触しない状態が理想です。
前歯である切歯は毛づくろいをしたり、ものを咥えたりするときに使う歯です。
上下の切歯の先端がまっすぐ接触する状態が正常です。
奥歯である臼歯の噛み合わせはシザーバイトと呼ばれます。
鋭利な歯がハサミのように擦れ合うことで食べ物を飲み込める大きさまで噛み切ることが出来ます。

これらの位置関係がずれて歯同士がぶつかったり、歯が歯ぐきや口蓋に刺さったりする状態が不正咬合です。

猫の歯の噛み合わせが悪いときの症状

猫の不正咬合では

  • ご飯を食べにくそうにする
  • 食べ物を口から落とす
  • 歯ぐきから出血する

などの症状がみられることがあります。
特に多いのは下顎の犬歯が内側に傾いてしまう「ベースナロー」とよばれる不正咬合です。
ベースナローでは下顎の犬歯が上顎や歯肉に突き刺さり、激しい痛みを伴うことがあります。

猫は口の痛みを隠すことが多いため、普通に食事をしていても口の中に傷ができているケースも少なくありません。
日頃から猫の食事の仕方などを良く観察して、些細な変化にも気がつけるように心がけましょう。

この記事を読んで気になった方へ 気になる症状があれば一度ご相談ください ご予約はこちら

猫の歯の噛み合わせが悪くなる原因

猫の不正咬合には、生まれつきのものと成長後に起こるものがあります。
生まれつきの原因には顎の形や成長バランスのずれなどがあります。
成長後の原因は

  • 抜けずに残った乳歯
  • 外傷
  • 歯の病気

などです。
それぞれについて詳しく解説いたします。

生まれつきの原因

顎の長さや形に左右差があったり、上下の顎の成長バランスが異なったりすると、歯全体の噛み合わせがずれることがあります。
下顎が短い、または長いなど、顎そのものの形が不正咬合の原因となります。
顎の形には問題がなくても、特定の歯だけが内側や外側を向いて生えることもありますね。
特に鼻の短い

  • ペルシャ
  • エキゾチックショートヘア

などでは生まれつきの不正咬合が多いです。

抜けずに残った乳歯

猫の歯は生後3〜6か月頃に乳歯から永久歯へ生え変わります。
永久歯が生えているにもかかわらず乳歯が抜けずに残っていると、永久歯が正常な位置に生えることができません。
その結果犬歯などが内側にずれて生え、噛み合わせが悪くなることがあります。

外傷や歯の病気

交通事故や落下などであごの骨を骨折すると、治癒後に上下の歯の位置関係がずれることがあります。
歯周病によって歯を支える骨が失われ、歯が移動したり傾いたりすることで噛み合わせが変化する場合もあります。

食べ物を拒む白い長毛の猫

猫の歯の噛み合わせの治療

すべての不正咬合に治療が必要なわけではありません。
噛み合わせが多少ずれていても、痛みや口腔内の損傷がなければ経過観察できることがあります。
噛み合わせが悪いことで

  • 歯が歯ぐきや口蓋に当たっている
  • 口から出血している
  • ご飯を食べにくそうにしている

などの症状がある場合には治療を検討します。
猫の歯の噛み合わせの治療方法は

  • 抜歯
  • 歯冠短縮
  • 矯正治療

などです。
それぞれについて解説いたします。

抜歯

異常な位置に生えた歯が口の中を傷つけている場合には、原因となっている歯を抜歯することが多いです。
乳歯が永久歯の位置を邪魔している場合には、残っている乳歯を抜歯します。
永久歯によって強い痛みが生じているときも抜歯が選択肢となります。

歯冠短縮

犬歯などが口蓋に当たっている場合には、歯の先端を短くする歯冠短縮を行うことがあります。
ただし歯を削ると歯の内部にある歯髄に近づくため、歯髄を適切に処置する専門的な歯科治療が必要です。

矯正治療

歯に力をかけて少しずつ正常な位置へ動かす歯科矯正を行うこともあります。
ただし、すべての不正咬合で矯正治療が適しているわけではありません。
猫の年齢や歯の状態、不正咬合の程度を詳しく評価して治療方法を決めます。

まとめ

大きなあくびをする灰色の長毛猫

猫の歯は、多少噛み合わせがずれているだけでは治療がいらない場合もあります。
しかしずれた歯が歯ぐきや口蓋に当たると、痛みや潰瘍の原因になるため注意が必要です。
治療では噛み合わせや歯の状態に合わせて適切な方法が選択されます。

当院では歯科診療に力を入れており、歯科用X線検査などを用いて歯の表面だけでなく歯根まで詳しく評価しています。
愛猫の歯の向きや噛み合わせが気になる場合は、お気軽にご相談ください。

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