犬の噛み合わせが悪い|原因や治療法を獣医師が解説

「愛犬の歯並びが気になる」
「上下の歯がうまく噛み合っていないように見える」
「噛み合わせが悪いと言われたけれど、治療した方がいいの?」
このようなお悩みをお持ちではないでしょうか。
犬の噛み合わせは見た目だけの問題ではありません。
噛み合わせが悪いと歯が口の中を傷つけたり、物を食べにくくなったりすることがあります。
今回は犬の噛み合わせについて
- 正常な噛み合わせとは
- 噛み合わせが悪くなる原因
- 噛み合わせの悪さを放置するリスク
- 治療方法
について詳しく解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のお口の健康管理にお役立てください。
犬の正常な噛み合わせとは
犬の正常な噛み合わせとは、上あごと下あごの歯が正常な位置で噛み合っている状態です。正常な犬では上の切歯が下の切歯よりわずかに前に位置し、犬歯同士は互いに干渉せずに噛み合います。
また奥歯も左右均等に接触することで、食べ物を効率よくすり潰すことができます。
これらのバランスが崩れ、歯や顎の位置に異常があるのが「噛み合わせが悪い」状態です。
犬の噛み合わせが悪くなる原因
犬の噛み合わせが悪くなる原因には
- 遺伝的な要因
- 乳歯遺残
- 顎の成長異常
- 外傷
などがあります。
それぞれみていきましょう。
遺伝的な要因
犬の噛み合わせが悪くなる原因で最も多いのは遺伝的な要因です。
顎の長さや骨格は遺伝の影響を受けるため、生まれつき噛み合わせに異常がみられる犬もいます。
特に短頭種では歯が並ぶスペースが不足し、歯並びが乱れやすい傾向があります。
乳歯遺残
乳歯遺残とは本来抜けるはずの乳歯が残ることで、永久歯が正常な位置に生えなくなります。
特に小型犬ではよくみられ、不正咬合の原因になることがあります。
顎の成長異常
上あごや下あごの成長バランスが崩れることで、上下の歯がうまく噛み合わなくなることがあります。
子犬の成長期に気付くケースが多くみられます。
外傷
交通事故や高い所からの転落などで顎の骨折を起こすと、噛み合わせが変化することがあります。
犬の噛み合わせ異常の種類

犬の噛み合わせの異常には
- オーバーショット
- アンダーショット
- クロスバイト
- ベースナロー
などの種類があります。
それぞれについて解説いたします。
オーバーショット
オーバーショットとは上顎が下顎より長い状態です。
前歯同士が噛み合わず、重度の場合は食べ物を食べにくくなることがあります。
アンダーショット
アンダーショットは下あごが前に突出している状態です。
いわゆる「受け口」ですね。
ブルドッグやシーズーなどでは犬種の特徴として正常とされる場合もあります。
その他の犬種では噛み合わせの異常として治療が必要になることがあります。
クロスバイト
クロスバイトとは一部の歯だけが正常とは逆の位置で噛み合う状態です。
歯が口蓋や歯肉に当たり、慢性的な傷を作ることがあります。
ベースナロー
ベースナローとは下顎の犬歯が内側へ向かって生え、上あごの粘膜や口蓋に刺さってしまう状態です。
強い痛みを伴うことが多く、歯科治療が必要になります。
犬の噛み合わせの治療
犬の噛み合わせの治療には
- 抜歯
- 歯列矯正
- 生活歯髄切断処置
などがあります。
ひとつずつ解説いたします。
抜歯
乳歯遺残が原因の場合は、早めに乳歯を抜歯することで永久歯が正しい方向へ生える可能性があります。
子犬では非常に重要な治療です。
またベースナローやクロスバイトなどで口腔内を傷つけている歯がある場合も抜歯が行われることがあります。
歯列矯正
歯列矯正では犬専用の矯正装置を用いて永久歯の位置を改善します。
数週間から数か月かけて少しずつ歯を移動させます。
専門性が高い治療のため、ご希望の際は歯科診療を専門としている動物病院に相談するのがおすすめです。
生活歯髄切断処置
生活歯髄切断処置とは長すぎる歯を歯肉に刺さらないように切断する処置です。
生活歯髄切断術では歯の真ん中の歯髄という神経を生かしたまま表面を保護するため、歯の感覚を残すことができます。
犬の噛み合わせの悪さを放置するとどうなるか
犬の噛み合わせが悪くても症状が目立たないことは多いです。
しかし、放置するとさまざまなトラブルにつながる可能性があります。
最も多いトラブルは、歯が歯ぐきや上あごの粘膜に当たり続けることで炎症や傷ができることです。
特に下あごの犬歯が内側に向かって生えている場合は、口蓋に穴が開いてしまうほど重度の損傷を起こすこともあります。
噛み合わせが悪いと歯垢や歯石がたまりやすくなり、歯周病のリスクも高いです。
歯周病が進行すると口臭や歯ぐきの腫れだけでなく、顎の骨が溶けてしまうこともあります。
痛みや違和感から食べにくさを感じるようになり、硬いフードやおもちゃを避けるようになる犬もいます。
犬の噛み合わせが悪いと感じたら、症状がなくても一度動物病院に相談しましょう。
子犬では早めの受診がおすすめ
犬の噛み合わせは乳歯から永久歯へ生え変わる生後4〜7か月頃が異常を見つけるために大切な時期です。
この時期に治療を開始できれば、乳歯抜歯だけで改善するケースもあります。
成犬になってからでは治療方法が限られる場合もあるため、歯並びや噛み合わせに違和感があれば早めに歯科診療を受けましょう。
まとめ

犬の噛み合わせの異常は、見た目だけでなく食べにくさや歯周病などにつながることがあります。
子犬では早期発見・早期治療によって、将来的なお口のトラブルを防げる可能性が高いです。
当院は歯科診療に力を入れており、専門的な歯科治療も行っております。
愛犬の歯並びや噛み合わせに少しでも気になることがあれば、ぜひ当院までご相談ください。


