猫の口腔内扁平上皮癌とは?気が付きにくい猫の口にできる腫瘍について獣医師が解説
「口の中に赤いただれのようなものがある」
「ご飯を食べたそうにしているのに、うまく食べられない」
「急に口臭が強くなってよだれが増えた」
このような愛猫の様子が気になっていませんか?
もしかしたらそれは口腔内扁平上皮癌という腫瘍が原因かもしれません。
口腔内扁平上皮癌は猫の口の中にできる悪性腫瘍の中で最も多い腫瘍のひとつです。
この記事では猫の口腔内扁平上皮癌について
- 病気の特徴
- 症状
- 治療方法
- 予後
- 自宅でできるサポート
を解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫の口の健康を守るための知識を深めていただければ幸いです。

猫の口腔内扁平上皮癌とは?
口腔内扁平上皮癌は猫の口の中にできる悪性腫瘍の中で最も発生頻度が高い腫瘍のひとつです。
口の中の粘膜を覆う扁平上皮という細胞ががん化することで発生します。
猫の口腔内扁平上皮癌は
- 舌の下
- 歯茎
- 扁桃
などに発生することが多いです。
猫の扁平上皮癌は周囲の組織や骨に浸潤しながら広がっていくのが特徴で、進行すると猫の口に強い痛みや出血を引き起こします。
リンパ節や肺への転移も起こりうるため、早期発見と早期治療がとても重要な病気です。
猫の口腔内扁平上皮癌で見られる症状
猫の口腔内扁平上皮癌は初期の段階では症状がほとんど出ないことが多く、気づいた時にはすでに進行しているケースも少なくありません。
猫はもともと痛みを隠す生き物であること、口の中を日常的に確認する機会が少ないことも病気の発見が遅れやすい理由のひとつです。
猫の扁平上皮癌が進行してくると
- 食欲はあるのにうまく食べられなくなる
- よだれの量が増える
- 口臭が強くなる
- 口元を前足でこするような仕草をする
- 体重が減ってくる
- 顔や顎が腫れてくる
といった変化が見られます。
ご飯を食べたそうにしているのにうまく食べられないという様子は口の中に痛みがあるサインのことが多いです。
このような猫の行動の変化に早めに気づいてあげられるように日頃から猫の様子を観察することが大切です。
猫の口腔内扁平上皮癌はほっといても大丈夫?
猫の口腔内扁平上皮癌は進行が速い腫瘍のため早期発見・早期治療が重要です。
「小さいから大丈夫」「食欲があるから様子を見よう」と思っているうちに、腫瘍がみるみる大きくなってしまうことがあります。
病気が進行すると腫瘍が周囲の骨に深く浸潤し、食事がまったくとれなくなるほど痛みが強くなります。
猫の扁平上皮癌は進行すると治療の選択肢が少なくなってしまうため、猫の口に異変を感じたら早めに動物病院を受診しましょう。
猫の口腔内扁平上皮癌の診断
猫の口腔内扁平上皮癌かどうか調べるには動物病院での検査が必要です。
動物病院では口腔内に病変部がないか確認が行われます。
口腔内に腫瘍が見つかった場合は病変部の組織を採取し、腫瘍の種類が調べられます。
猫の口腔内扁平上皮癌では腫瘍の浸潤や転移などを確認するために、レントゲン検査やCT検査を合わせて行われることも多いです。

猫の口腔内扁平上皮癌の治療
猫の口腔内扁平上皮癌の治療は大きく分けて以下の3つがあります。
それぞれについて解説します。
外科手術
外科手術では腫瘍とその周囲を大きく切除する広範囲切除が基本です。
腫瘍が顎の骨に及んでいる場合は骨ごと切除が必要になることもあります。
術後数日は食事がとりにくくなるため、チューブを使って栄養を補うことも多いです。
早期に手術できれば愛猫の生活の質を保ちながら過ごせる時間を延ばすことができます。
放射線治療
放射線治療は病巣に放射線をあてて腫瘍細胞の増殖を抑える治療です。
外科手術が難しい場合や手術後の追加療法として選択されます。
腫瘍の進行を抑え猫の生活の質を維持することを目的に行われます。
内科療法
内科療法では抗がん剤や鎮痛・抗炎症薬が使われることがあります。
腫瘍を完全になくすことは難しいですが、進行を遅らせたり痛みを和らげて生活の質を保つことを目的に使用されます。
とくに手術が困難な場合や緩和ケアを優先する場合には、痛みをコントロールするための内科療法が重要です。
猫の口腔内扁平上皮癌の予後
猫の口腔内扁平上皮癌は進行が早く、診断時にはすでに進行していることが多いため治療を行っても数ヶ月ほどの予後となることが少なくありません。
ただし、早期発見・早期治療によって生活の質を保ちながら過ごせる時間を延ばすことが可能です。
根治が難しい場合でも痛みをコントロールして少しでも快適に過ごせるよう緩和ケアを続けることはとても大切です。
口腔内扁平上皮癌の猫に自宅でできるサポート
口腔内扁平上皮癌と診断された後も、日々の自宅でのケアが愛猫の生活を支えることになります。
自宅でできるサポートをいくつか紹介します。
食べやすい環境を整える
口の中に痛みがある猫はドライフードを嫌がることがあります。
ウェットフードやペースト状の食事など、噛まずに飲み込めるものに切り替えてあげましょう。
また、器を床に置くより少し高さのある台に乗せてあげると猫が楽な姿勢で食べられることがあります。
猫が少量でもご飯を食べられているかどうかを毎日確認してあげることが大切です。
体重と体調の変化を記録する
口腔内の腫瘍がある猫は気づかないうちに体重が落ちていることがあります。
週に一度など定期的に体重を測り、記録しておくと獣医師への報告に役立ちます。
食欲や飲水量なども合わせて観察しておくと、体調の変化を早めにキャッチすることが可能です。
痛みがないか観察する
猫の口の痛みのサインに
- 口を触られるのを嫌がる
- ご飯の前でじっと器を見つめるだけで食べない
- 顔を傾けながら食べる
などがあります。
このような変化に気づいたら早めに動物病院へ連絡し、痛みのコントロールについて相談しましょう。

まとめ
猫の口腔内扁平上皮癌は猫の口の中にできる悪性腫瘍です。
口腔内扁平上皮癌は進行速度が早い腫瘍のため、早期発見が治療や予後に大きく関わります。
当院は歯科診療に力を入れており、口腔内の腫瘍についても対応しています。
「食欲はあるのに食べにくそうにしている」
「口の中に赤みやただれのようなものがある」
など愛猫の口に違和感を感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。


