犬の歯周病がくしゃみの原因に?歯周病が引き起こすくしゃみについて獣医師が解説
「歯周病と言われているのに、なぜかくしゃみや鼻水が続いている」
「鼻炎の治療をしているのに良くならない」
「くしゃみと口臭が同時に気になりだした」
このような愛犬の様子が気になっていませんか?
実はくしゃみや鼻水の原因が歯周病にあるケースは珍しくありません。
この記事では犬の歯周病が引き起こすくしゃみについて
- 発生するメカニズム
- 症状
- 治療
- 予防
を解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の健康管理にお役立てください。

犬の歯周病でくしゃみが出るメカニズム
「歯周病が原因で犬がくしゃみをするの?」と思われる飼い主様も多いですよね。
犬の上顎の奥歯の根元は鼻腔と呼ばれる鼻の通り道のすぐそばに位置しています。
犬の歯周病は進行すると歯の根元の周囲の骨を少しずつ溶かしていくのが特徴です。
そのため歯周病によって歯の根元と鼻腔の間にある薄い骨まで破壊され、口と鼻がつながってしまうことがあります。
この状態になると口の中の細菌や食べかすが鼻腔に流れ込み、鼻の粘膜に炎症が起きてくしゃみや鼻水などの症状が現れるようになります。
歯周病が起こりやすい上顎の第4前臼歯と犬歯は根が長く、鼻腔との距離がとても近いため歯周病によるくしゃみの原因になることが多いです。
小型犬は顎が小さく歯が密集しているためこのトラブルが起きやすい傾向があります。
犬の歯周病が進行したときに見られる症状
犬の歯周病が進行してくしゃみが出るようになると、その他の症状に
- くしゃみが続く
- 片側の鼻からだけ鼻水が出る
- 鼻血が出る
- 口臭が強くなる
- 食欲が落ちる
- 鼻周りを気にしてこする
などが見られることが多いです。
歯周病によるくしゃみに特徴的なのは鼻の片側だけに症状が出ることです。
鼻炎やアレルギーでは両側の鼻に症状が出ることが多いのに対して、歯周病が原因のくしゃみでは原因となる歯がある側の鼻にだけ症状が出ます。
「なぜか片側の鼻からだけ鼻水が出る」という場合は歯周病が原因の可能性があります。
犬の歯周病によるくしゃみの治療
くしゃみを引き起こしている犬の歯周病の治療には外科治療と内科治療があります。
それぞれ解説していきます。
外科治療
くしゃみを引き起こしている犬の歯周病の根本的な治療は外科治療です。
外科治療では原因となっている歯を抜歯し、口と鼻をつないでしまっている穴を縫合して閉じる手術が行われます。
手術前後には抗生剤や痛み止めも使用されます。
治療後は鼻の炎症が落ち着き、くしゃみや鼻水が改善していくことが多いです。
ただし長期間放置して慢性的な鼻炎が進んでいた場合は、治療を行っても鼻症状が完全には改善しないこともあります。
歯周病によるくしゃみは早めに治療を行うことが大切です。
内科治療
外科治療の前後には口の中や鼻腔内の細菌感染をコントロールするために抗生剤が使われます。
くしゃみや鼻水の症状が強い場合には炎症を抑える消炎剤が使われることもあります。
ただし、内科治療だけでは歯周病による骨の破壊を止めることはできません。
内科治療はあくまでも症状を和らげたり外科治療に向けた準備として行われるものです。
くしゃみを引き起こす歯周病の根本的な解決のためには外科治療が必要です。

くしゃみを引き起こす犬の歯周病を放置するとどうなる?
歯周病を放置すると慢性的なくしゃみや鼻水が続くだけでなく、骨の破壊がさらに進んでいきます。
鼻腔内に細菌が繰り返し流れ込むことで鼻の粘膜の炎症が慢性化し、鼻血や膿性の鼻水が出るようになることも多いです。
また、口の中の骨がさらに溶けることで歯が次々と失われたり、顎の骨が弱くなって骨折が起きやすくなるケースもあります。
「くしゃみくらいなら大丈夫」と思わずに、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
犬の歯周病によるくしゃみを防ぐためにできること
犬の歯周病によるくしゃみは歯周病を早期に発見・治療することで防ぐことができます。
自宅でできる歯周病の予防についていくつかご紹介します。
日々の歯みがきを習慣にする
歯の表面に付着した歯垢は放置すると歯石となり歯周病の原因になります。
毎日の歯みがきを習慣にすることで歯周病の進行を防ぐことができます。
デンタルケア用のフードやおやつを活用する
デンタルケアを目的として作られたフードやおやつは、噛むことで歯垢が落ちやすくなるよう設計されています。
歯みがきと組み合わせることでより効果的に歯周病を予防することができます。
ただし、硬すぎるおやつや骨は歯が折れる原因になることもあるため、獣医師に相談しながら選ぶようにしましょう。
定期的に動物病院でチェックを受ける
歯周病は初期の段階では症状がほとんど出ないため、飼い主様が気づけないことが多いです。
定期的に動物病院で口の状態を確認してもらうことで歯周病を早い段階で見つけることができます。
とくに小型犬は歯周病になりやすいため、若いうちから定期的な歯科チェックを受けることをおすすめします。

まとめ
犬のくしゃみや鼻水の原因が歯周病にあるということに驚かれる方も多いと思います。
歯周病が進行すると口と鼻がつながり、くしゃみなどの鼻症状が出てくることがあります。
これは決して珍しいことではなく、すべての犬で起きうる病態です。
歯周病によるくしゃみなどの鼻症状は、適切な治療を受ければ改善することが多いです
当院は歯科診療に力を入れており、歯周病に対する外科治療も行っています。
「くしゃみが続いている」「口臭とくしゃみが同時に気になる」など愛犬の様子で気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。


